会社の様々な活動の結果を集約したものが決算書ですが、法的には、会社法と法人税法(上場会社の場合はさらに、金融商品取引法)に従って作成する決算書があればよく、その作成は法律に基づいて行うため、基本的にだれが作成しても同じものが出来上がります。一方で、そのような決算書は会社全体の数字をまとめたものであり、複数の事業や商品、サービスを持つ会社にとっては、会社全体の決算書の他に、事業別、商品別、サービス別に、収支がどうであったか(儲かっているかどうか?)、さらに現在の状況を過去と比較し、あるいは将来の予測をするための情報が不可欠であり、そのための会計を管理会計と呼びます。
法的な決算書が正解は1つであるのに対して、会社経営のための管理会計は、会社が100社あれば100通り、経営者が100人いれば100通りの方法があり、唯一の正解があるわけではありません。また、事業環境が目まぐるしく変化し、事業が多角化・複雑化していく中で、経営に必要な情報を迅速に集めて分析する必要があります。我々は、経営者の方が経営判断のために欲している情報を引き出し、必要な情報を集める(マネジメントレポーティングの)仕組みの提案、そのインフラの構築・運用をお手伝いいたします。
経営者の方が経営に必要な情報を集めるための会計が管理会計ですが、平たく言えば、経営管理資料(マネジメントレポート)の作成が主な目的となります。それには様々な資料がありますが、重要性、優先順位、頻度、迅速性、そのための人員リソースやインフラ等を、会計の専門家である公認会計士をはじめとする専門スタッフが、御社の立場に立って、現状分析から課題の抽出、管理会計構築の提案、構築のお手伝い、社員教育、またその後の運用支援を必要なフェーズで、あるいは全面的にフルサポートいたします。具体的な経営管理資料を挙げると、代表的なものとして、例えば、次のようなものがあります。
中期経営計画は、会社の経営方針に基づき、将来の3~5年程度の利益計画等をまとめたものになります。その裏付けとして、事業戦略やアクションプランに基づき、人員計画や設備投資計画、資金計画を策定し、それらを元に、将来の利益計画、キャッシュ・フロー計画、予想貸借対照表等を作成します。 年度予算は、中期経営計画と整合する形で策定する、より詳細な単年度の計画値であり、損益計算書予算、貸借対照表予算、キャッシュフロー計算書予算、と言ったものが作成されます。またこれらは通常、部署毎に月別に策定し、積上げて会社全体のものにまとめます。
多くの企業においては、毎月経営会議や役員会等で、前月の予算値と実績値の差異状況について分析したものが報告されます。差異分析の過程で、経営上の課題が発見され、その課題について迅速に対処するため、差異分析には一定のスピード感が要求されます。また予算がいい加減であると、実績との差異理由が明確にならないため、年度予算については、精緻なものが求められます。
事業計画書は、会社を設立する際、銀行や投資家からの資金調達をする場合、既存の事業とは別に新規事業を行う時に、作成が必要となるものです。そこでは、会社の経営理念やビジョンから始まり、事業の特徴、自社を競合と比較した場合の強みや弱み、外部環境の分析等を行い、経営戦略を示した上で、最終的には、中期の経営計画数値を記載するのが一般的です。
「勘定合って銭足らず」とは昔から言われていることですが、どんなに利益を上げられることが予定されているとしても、資金繰りに行き詰ってしまったら、黒字倒産ということも冗談ではなくなります。資金繰りは、会社の生命線であるため、近い将来の資金繰りを適切に予想することで、必要な運転資金を確保すべく早めに金融機関と交渉することで、一時的に資金不足に陥ることを予防できます。
年度予算や中期経営計画では、最終的な決算書の数字については計画するものの、その計画値をどのように達成するかは明確ではありません。現場レベルで何を行うべきか、そのために、大きな目標をそこに至る要素に分解し、現場レベルの取り組み可能な目的のための指標が、KPI(Key Performance Indicators:重要業績評価指標)です。売上高を例にとると、売上高を分解してみると、「顧客数×平均単価×購入頻度」というように分解されます。さらに顧客数は「既存顧客+新規顧客」に分解され、さらに新規顧客は「新規に購入意向を持った人の数×購入率」に分けられるので、現場の営業レベルにおいては、『購入意向を持つ人(見込客)を何人集まられるか』、あるいは『そのうち何割の見込客に実際に購入させることが出来るか』を具体的な目標の指標として設定するかもしれないですし、もっと細かくブレークダウンして目標設定することも出来ます。従って、有効性の高いKPIを設定することが重要となります。